2013年6月17日月曜日

DesignSparkPCBとKiCadの比較

 トラ技5月号にてKiCadの紹介がありまして、DesignSparkPCBに対する不満が解消できるのであればと思い、使ってみました。
 回路図エディタ、PCBエディタ、部品ライブラリの観点からDesignSparkPCBと比較して長所、短所を上げていきます。

●回路図エディタ
**長所
 ・日本語化されていて、初めて使う人でもわかりやすい
 ・電源シンボルがライブラリと独立していて挿入しやすい
 ・下手にいじっても電源シンボルのネットが削除されることがない
 ・ライブラリの修正が特に操作せずとも即座に反映される
 ・ピンのシンボルに論理(反転・クロック・負論理入力など)が含められる
 ・部品同士が重なっている箇所では明示的な選択メニューが出る
 ・単一回路図ファイルで複数レイヤを備えている=複数のファイルにまたぐことなく1つのファイルで回路図を書ける
 ・ERCを搭載しているため、回路図作成でのミスを低減できる

**短所
 ・独特の操作性
   DesignSparkPCBでは部品を選択してコピー 、任意の場所でペーストだが、コピーを選択した時点で部品がマウスにくっついてくるため、最初操作に戸惑う
 ・ ctrlキーで部品をいくつか選択する操作ができない。単一or範囲選択のみ
 ・ ライブラリが出しづらい
   専用ウィンドウが出てきて、部品を出す度に消えるため、操作回数が多くなる

●PCBエディタ
**長所
 ・配線を削除してもネット情報が残っている
 ・ 配線幅、ビア径を指定しやすい
 ・既存の配線がある状態で配線を引き直すと新しい方を採用してくれる
 ・ラッツネット全表示の切り替えが可能
 ・ラッツネットの線を選択して削除することがない
 ・配線の修正が容易
 ・回路図エディタを同時に起動できるため、回路図見ながらの作業が可能
 ・ガーバデータの出力がわかりやすく、標準でRS-274X形式で出力してくれる。
**短所
 ・回路図からネット情報を読み込んだ際に部品が整列されていないため、一度整列させる必要がある
 ・レイヤーとレンダーの2つがあり、裏面だけ見たいという場合の操作が面倒
 ・非表示項目も薄い色で表示されるため、邪魔

●部品ライブラリ
**長所
 心苦しいですが、比較しての長所がないです。。。
**短所
 ・SCHシンボルにPCBシンボルを関連付けできない
 ・PCBシンボルでPIC等他ピンライブラリ作成が面倒(DesignSparkPCBならウィザード形式で楽々)
 ・SCHシンボルとPCBシンボルのピン割り振りを同じ画面で確認できない(確認しようとするとSCHで部品ピンにネットをつけてPCB上で同じピンに同じネットがあるかを確認するくらい)

●その他
独自昨日としてガーバビューワ、各種計算が容易になる専用計算アプリ、ビットマップからパターンを作成する機能があります。

 KiCadとDesignSparkPCB両方使ってみての比較でしたが、回路図作成ではDesignSparkPCB、パターン作成ではKiCadがそれぞれ好みの機能・操作方法でした。
 KiCadは今後CERNが介入するようです。回路図エディタの操作性等改善されればもっと良いCADソフトになるんじゃないかと予想されます。
 どちらのソフトにしてもフリーで十分快適な回路図・パターンを作成できるソフトです。今後のバージョンアップに期待です。